鍼灸師の国家資格を取得して20年が経ちました。この間、常に怪我や病気、不妊の問題と向き合って来ました。
自身の仕事として、生き方としてそれで充分に満足していたのですが、根底から見直さなければならない期間に遭遇しました。
それがコロナ禍と呼ばれる陰鬱な日々でした。
これまで経験したことのないような社会の矛盾を目の当たりにして、周囲の人達にも、行政や学校、保育園にも「子供中心、若者中心でいきませんか」と掛け合ってみたものの、持病のある高齢者を守るための感染症対策中心は何一つ変わりませんでした。
ソーシャルディスタンス、三密回避、黙食、マスクの強要など子供達の日常も大きく変わり、その名残りで現在もまだ感染症対策のために親しいコミニュケーションやスキンシップがはばかられています。
あの頃、子供達は楽しみにしていた殆どのイベントを取り上げられてしまいました。
運動会も遠足も修学旅行もスポーツ大会も演劇や吹奏楽部の発表会も軒並み中止になりましたね。
コロナ禍の三年間の殆どで、私はマスクをしませんでした。表情の見えない社会が子供達の心や身体の健全な発育を阻害してしまうのは明らかだったからです。
今からおよそ800年前、ローマ帝国のフレデリック大王は当時多かった捨て子などを部下に50人集めさせてある実験を行わせました。
マスクをした乳母に最低限の世話(オムツ替え、ミルク、入浴)だけを行わせ、その他は一切スキンシップ、コミニュケーションを禁止したのです。話しかけることも、笑いかけることも、目を合わせることさえも禁止しました。
赤ちゃんたちにどのような障害や問題が出たと思いますか?
障害どころの話ではなくて、50人の子供たちは全員死んでしまったのです。
このフレデリック大王の残酷な仕打ちは歴史上最悪の実験とも言われているわけですが、マスクで顔を隠した保育士が園児同士に距離をとらせて、壁に向かって黙って食事をさせたのがコロナ禍の感染症対策でした。
昼休みに届け物をするために保育園に行った私が目にしたのは、表情を無くした園児たちが壁に向かって黙々と食事をする姿でした。
コロナ禍を園児で経験した子供たちに、この先どれほどの発達障害の問題が発生してくるのか。
その時に私は腹を括ったのです。
周りから何を言われても、私は徹底して子供たちの味方でいよう。
大人が潔く生きていれさえすれば医療崩壊は起きないし、子供たちは密にコミニュケーションやスキンシップを取って健全に健康に日々成長していけるじゃないですか。
子供や若者たちが自由にのびのびと生きていけるよう、大人はリスクを負って犠牲になる覚悟を持とう。
訪れるかたの数は少し減りましたが、今イリシア鍼灸院に、同じような考えのかたが集まってくださっていることを幸せに感じています。
これからは怪我や病気と向き合うのではなくて、人と向き合って日々の治療にあたっていこうと思います。
子供の味方になれる人や、おおらかに潔く生きようとする方々の健康や子宝に対して力になれるよう自分を磨いていきたいと思っています。
私達自身が潔く、徹底して子供の味方でいる姿勢こそが、子宝治療のイリシアと言われる源であることに疑いの念を持ちません。