組織が損傷すると、患部からセロトニン、ブラジキニン、ヒスタミンといった痛みの物質が放出されます。そうした痛みに対して、ステロイド(副腎皮質ホルモン)やエンドルフィンなど身体は抑制性の指示を出して、あるいは痛み止めなどで人為的に指示を出すことで痛みは緩和されます。

ところが、病院に行こうが薬を飲もうが、何をしても緩和されない痛みであるとか、以前は効いていた薬が効かなくなってしまった痛みなどで毎日苦しい思いをされているかたの治療もたくさんやってきました。

鍼をしたからといって全てがすぐに良くなるわけではありません。

治らない痛みをどうやって治すか。

まず、薬というのは痛みの物質の生成を阻害したり、神経に伝える機能を麻痺させたりする「指示」であることに注目してください。鍼灸の刺激も「指示」なのです。

痛みが緩和されない理由は指示が的確に出ていないか、指示に対して身体が反応できていないことを意味します。

では、そうした抑制性の指示に対して実際何がどう働くことで痛みは緩和されるのでしょうか。

痛みの物質の生成を阻害するのは分解酵素です。痛みの物質を分解したり神経を麻痺させたりするのも指示に従って働く酵素の役目なのです。薬にしても鍼灸にしても、体内に酵素や補酵素が充分にあるという仮定の元で投与されたり施術されたりします。

私が見てきた限りでは、治らない痛みを抱えた人は漏れなく酵素、補酵素の不足が見られます。ステロイド薬というのは副腎皮脂ホルモンのことで副腎から分泌される抗炎症系の指示薬です。薬として常用すれば酵素不足になって指示に反応しなくなります。より強力な薬でより強く指示を出すと最終的に酵素が渇望して痛みが緩和されなくなります。

ならば酵素を飲めば良いのかと思ってしまいがちですが、酵素というのは用途に応じて何千種類もの補酵素から作られる物質です。わかっているだけでも何百種類もある酵素の中で、何の用途に作用する酵素かもわからないまま、闇雲に酵素ドリンクなるものを飲んで一体何の効果を期待しているのか首を捻りたくなります。酵素不足に対して酵素を摂っても意味はありません。

大切なことは、体内に蓄積されている補酵素を無駄に消費してしまうような飲食物を摂らないことです。緩和されない痛みがある人ほど、補酵素を無駄に消費してしまうものを好んで摂取する傾向にあります。

また、補酵素の無駄な消費を抑えることに絶大な効果を発揮する比較的安価な食品も幾つか存在しています。腸壁を締めることで血液に余分な栄養が吸収されないようにすることで補酵素が分解酵素として使われすぎないようにすれば、自ずと抗炎症酵素の働きは活性させることができます。

補酵素は腸内細菌が生産します。腸活をしましょう。

食べ過ぎを慎み、少食でよく歩くことを心がけてください。

こうした地道な努力の積み重ねで、痛む体質は改善する事ができます。

痛みの日々から解放されるのです。

イリシアの疼痛緩和治療は、半分がご自身で日々行うことのレクチャーです。できることから少しずつ、痛む身体から癒す身体へと変えていきましょう。