イリシアの出張鍼灸は、現状自宅療養を余儀なくされていて、本気で社会復帰を目指しているかたに対する往療です。本院分院の両方でご予約可能です。

鍼灸師になった私が最初に往療を行ったのは、病院の附属鍼灸院に勤務していた時代でした。患者さんの多くは高齢の寝たきり生活で、私の仕事は痛みのコントロールとそれ以上悪くならないようにする事でした。

30分くらいの在宅時間で、痛みがある患部への鍼灸と簡単なマッサージ。

費用は健康保険が効いたので自己負担金額は500円から1000円くらいだったと記憶しています。

患者さんとご家族には喜んでいただきましたが、現状維持が目的の公的な医療というのは、しっかりと治療して治したい私には正直あまりやりがいが感じられませんでした。

その次に行った出張治療は癌患者さんに対するボランティア治療でした。東海大学病院から余命2週間の末期癌と宣告された父を7ヶ月間最後まで諦める事なくサポートし続けた医療系専門学校時代の経験を活かした治療で、数多くご要望をいただきました。

当時は病院の雇われ鍼灸師でしたから公休日があって、休みの日を利用してボランティア活動を行いました。

大田区大森の病院の隣町蒲田から、遠くは名古屋市までご依頼をいただき、もちろん交通費はお支払いいただきましたが、遠方の出張治療でいろいろな経験をさせて頂きました。

病院の附属鍼灸院の院長という肩書きはとても絶大でした。次々と依頼があって治療させて頂きました。

もう、殆ど意識のないようなかたの治療もやりましたし、比較的元気なかたの治療もやらせて頂きましたが、共通点は全員が病院から見放されたステージ4の再発末期癌患者。

それまでは寝たきりだったのにお元気なられて鍼灸院まで自力で通っていただけるようになったかたや、卓球のコーチ業に復帰されたかたもいました。

名古屋市の方も元気になられて東京まで毎月治療を受けに来てくださるようになりました。ただ、多くのかたは元気になるにつれて元の生活習慣に戻ってしまいました。一度縮小した癌は再発転移して、更に強固な癌となり結果として亡くなられたかたが多いのは事実です。その点では悔いが残っています。

ストイックな療養生活が辛くなってきてやめてしまわれる患者さんに対して「もう少し頑張りましょう」と言えなかった自分が今になっては情けない。

その後は鍼灸院の通常業務が忙し過ぎて、往診には行かなくなりました。当時は毎日全身治療を15人から20人行うという殺人的なスケジュールをこなしていました。一度に3人4人のベッドを掛け持ちで治療することも珍しくありませんでした。

休みの日にボランティアを行う余力は全くありませんでした。

暫くして附属院に対する病院の税務の問題で医療法人社団から独立するように仕向けられて、仕方なく居心地の良かった雇われ院長を辞める事になりました。

我に帰ると子供たちを土の上で育てたくなって、疎開するかのように妻の実家がある信州上田に転居しました。それが2009年です。2014年までは私だけ東京と信州を行ったり来たりの二拠点生活でしたが、2014年2月に東京の平和島鍼灸院を閉じて上田市に完全移転しました。その後2016年に長野県東御市に鍼灸院が移転して現在に至ります。

2025年5月、息子の東京進学を期に週の半分ですが11年ぶりに東京で仕事をします。

難病を治せるみたいな大口は叩きません。ただ、鍼灸師になった当初から、いつか子供や若者の難病治療に携わるのが目標でした。

私自身4人の男の子を授かり、これまで一人として大病を患うこともなく、大怪我をすることもなくここまで無事に子育てが出来て、この上ない幸せを感じています。

私自身子供の頃は、遊び、学び、スポーツ三昧でした。青年期には恋をして、その後親元から自立して仕事をして、結婚をして、子育てをしています。

私たちはそれを当たり前のように感じますが、この世界にはそれが叶わない人がたくさんいるのも事実です。

私にしてみたら人生でそれが一番悲しい。病気や後遺症のような原因で長く自宅療養を余儀なくされているかたは本当に気の毒でなりません。

恋は生きた証だし、子育ては生きがいです。この世界に生を受けた以上、是非とも経験してもらいたい。子育てが半ばにして思うように身体が動かせなくなっているかたも本当に辛いだろうと思うのです。

そうした方々の希望に、私は叶えられる可能性があります。信州の片田舎で安穏とした生活を送るよりも、せっかく授かった能力を活かして、エネルギッシュに役立てていきたい。

病気を完治させるとか、原因を根っこから取り除くとか、そういうことを吹聴したりはしませんが、患者さんが本気であれば多くのケースで社会復帰の希望を叶えるくらいのお手伝いは出来るだろうと思います。

13000円という費用が少し高いと思われるかもしれませんが、これは上田と東京の新幹線代です。

東京滞在予定の4日間の前日までに予約が1件しか入らなければ残りの3日は予約をクローズして信州へ日帰りします。家事育児など本来ならやらなければならないことは山ほどありますので。

予約が2件以上入って東京ベースに寝泊まりするようでしたら、空いた時間を利用してその週もう一度治療に伺えたらと思います。お受けになったことがあるかたはご存知でしょうが、鍼灸は連日の治療が一番効きます。

その回についてはボランティアでやらせて頂こうと思います。

最後に、上田市で往診させていただいた60代の女性のことを書き記しておこうと思います。初回往診時に彼女は日常生活が何一つ自力でできなかったし、会話も通じませんでした。脳腫瘍が再発してしまって、家で何もせず静かに生活されていました。

彼女は当時東京の虎ノ門病院で行われていたウィルス治療という、狙った細胞に遺伝子を組み替えたウィルスを繁殖させる治験の被験者でした。

鍼灸の往療を開始すると彼女の体調はメキメキとよくなって、次第に生活が自力で行えるようになったのと、支離滅裂だった話が通じるようになりました。病院の検査では、画像診断なのでどちらかわからないが、腫瘍は消失したか、あるいは完全に進行が止まっていると言われたそうです。

彼女のことはNHKの「あさ一」という情報番組で取り上げられて、虎ノ門病院の電話は全国から問い合わせがひっきりなしにかかってきたそうです。

ただ、ご主人から聞いたところによると14人の被験者のうち、顕著な改善が見られたのは彼女を含めて2名だったとのこと。残りの12人には効果は見られませんでした。

顕著な改善が確認されたもう一人のかたは、他にどんな治療を受けているのでしょうか。私には知る由もありませんが。

そんなこともあったけれど、私の方の鍼灸治療には全く影響はありませんでした。なんとも私の不得の致すところです。それにしても世の中の鍼灸に対する評価があまりにも低過ぎます。

なんて、偉そうなことを書きましたが、この方がなんで治ったのかは知りません。この世に万人に効果が期待できる治療癌なんて存在しません。ですから最初はお試し治療として費用は交通費税込で5000円で行わせていただきます。

治療が合わなければ2回目の施術機会を無理に作って頂かなくて大丈夫です。

もちろんお伺いした際に何かの購入を迫るなんていうことはありません。往療費以外一切請求致しません。ご安心ください。

また、長野本院においても可能な限りは「往復時間込みの3時間枠出張治療」をお受け致します。車で移動しますが、高速道路の使用可能範囲は佐久IC〜更埴ICまでの期間です。法定速度で走り東部湯の丸ICから片道45分以内の場所に限らせていただきます。

事前に症状などについて詳しくお伺いしてから伺わせていただきます。可能な限りライン登録をしてください。ご相談はEメールでも結構です。

お子さん、若者、子育て世代の患者さんに対しては、1回の正規治療に対して長野本院でも一回のボランティア治療を行うつもりでおりますが、東御市の本院からの距離や車で伺う時間も考慮させていただき、必ずしも治療1回に対してボランティア1回をお約束できるものではないし、ボランティアについては曜日時間を指定できないということを予めご理解いただきたくお願い申し上げます。